香りを「選ぶ」前に、身体にたずねてみる
Amber Wonder 3 調香会から見えた、もうひとつの調香
8月29日、渋谷で「Amber Wonder 3 調香会」を開催しました。
今回試みたのは、いつもの調香とは少し違う方法です。
香料を嗅いで、
「好き」
「嫌い」
「この組み合わせがよさそう」
と考える前に、
いまの自分の身体は、どの香りに反応しているのか。
そこから香りを組み立ててみました。
SOWでは、香料の知識や調香技術を学ぶことを大切にしています。
トップ・ミドル・ベース。
香料の揮発速度。
香調。
強度。
組み合わせ。
比率。
調香には、知っておくべき技術があります。
けれど長く香りに触れていると、もうひとつ無視できないものがあると感じます。
それが、嗅覚と身体感覚の関係です。
経験があるほど、先に「答え」が見えてしまう
香料を長く扱っていると、香りを嗅いだ瞬間にある程度の予測ができます。
「ここにはこの香料が合う」
「少し樹脂を加えればまとまる」
「この香りならこの方向に展開できる」
それは調香技術のひとつです。
一方で、その経験があるからこそ、無意識に「いつもの正解」を選んでしまうこともあります。
今回の調香会では、その思考をいったん脇に置きました。
キネシオロジーの考え方を使いながら、一つひとつ身体の反応を確認して香りを選んでいきます。
すると、本人が好きだと思っている香りと、身体が反応する香りが一致しないことがあります。
逆に、
「普段ならまず選ばない」
という香料が、その人の香りの核になることもありました。
これは、とても興味深い体験でした。
香料が多ければいい、とは限らない
今回私は、最初に11種類ほどの天然香料を準備しました。
さらに補助として、SOWで使用している45種類の香料セットも持参しました。
しかし45種類が並んでいると、やはり全部嗅ぎたくなります。
そこから、
「こちらもいい」
「こっちも使いたい」
「これを合わせたらどうなるだろう」
と、通常の調香へ意識が戻っていきました。
これはこれで、とても楽しい。
ただ今回のテーマである、
「身体にたずねて香りを選ぶ」
という体験を深めるのであれば、最初から香料の選択肢を絞る必要がありそうです。
これは今回の大きな学びでした。
バリバリ―の吉田先生が持参してくださったたくさんのチンクチャーが体の反応をみて、
その人に必要なベースの香りをきめていきました。
そして、大切な・・・全体をまとめてくれる龍涎香。
これがみなさん使いたくていらっしゃってる。龍涎香のお導き。
ホワイト、ブラウンの龍涎香を最後にいれて完成です。
調香では、香料を増やすことだけが自由ではありません。
制限をつくることで、逆に感覚が鮮明になることがあります。
調香は「正解を覚えること」ではない
SOWで伝えたいのは、レシピを覚えることだけではありません。
香料を知る。
嗅ぎ分ける。
構造を理解する。
自分で選択する。
そして、
自分がなぜその香りを選んだのかを観察する。
調香を学ぶということは、嗅覚だけではなく、自分自身の感覚を解像度高く見ていくことでもあります。
知識からつくる香り。
イメージからつくる香り。
記憶からつくる香り。
身体からつくる香り。
調香には、いくつもの入口があります。
今回のAmber Wonder 3は、その中のまだあまり言語化されていない入口を探る実験になりました。
香りを「うまくつくる」だけではなく、
自分は、どう香りを感じ、どう選んでいるのか。
そこまで含めて学ぶこと。
SOWでは、そんな調香をこれからも探究していきたいと思います。

